
[定義]
ウエルドボンド法とは、被接合材の間に接着剤をはさんだ状態で、抵抗スポット溶接を行い、スポット溶接時の発熱によって接着剤を固化させて、接合する方法のことを言います。
ウエルドボンド法は
- 被接合材表面の前処理
- 接着剤の塗布
- 抵抗スポット溶接の電極の加圧による接着剤の排出
- 被接合材同士の直接接触
- 抵抗スポット溶接による接合部(ナゲット)の形成
- 接着剤の硬化
といったプロセスで接合がなされます。
[特徴]
ウエルドボンド法は抵抗スポット溶接と接着を併用した接合方法であり、以下のような特徴があります。
- 生産効率の向上
抵抗スポット溶接の発熱により、接着剤を硬化させることで部品の仮固定ができ、タクトタイムを短縮できます。
- 接合継手の機械特性の改善
抵抗スポット溶接の併用により、はく離強度、衝撃強度、高温強度が低いといった接着の機械特性を改善することができます。
- 部品剛性の向上
抵抗スポット溶接は点接合であり、打点間が大きくなると部品剛性が低くなります。接着を併用することで部品剛性を向上することができます。
- 応力集中の回避
抵抗スポット溶接部近傍は応力集中が生じやすく、場合によっては、その応力集中が要因となり、き裂の発生、進展につながる場合があります。接着を併用することで面での接合となり、応力集中が分散され、耐久信頼性の向上につながります。
[注意点]
ウエルドボンド法では、被接合材界面に接着剤を配した状態で、抵抗スポット溶接が行われるため、電極での加圧により溶接部から接着剤が排出され、被接合材同士が直接接触する必要があります。
液状、ペースト状の接着剤は加圧による排出が可能ですが、フィルム状接着剤やホットメルト接着剤などは電極での加圧のみでは排出できません。
そのため、金属製の分流板を発熱させることで、接着剤に流動性を与える、導電性フィラを含有した接着剤を用いることで、被接合材同士が直接接触していない領域の通電を促進し、その発熱により接着剤に流動性を与えることで、接着剤を排出しています。
ウエルドボンド法の接着剤には以下のような特性が求められます。
- 油分等のコンタミへの適応性
納入された被接合材の表面の防錆油等のコンタミに対して、用いる接着剤が適応性を有していることが必要となります。
- 接合時の排出性
健全な抵抗スポット溶接部得るために、電極による加圧で効率的に排出される特性が求められます。
- 非引火性
抵抗スポット溶接時のチリにより引火しない。
- はみ出し、ダレ
抵抗スポット溶接時の加圧によって、はみ出した接着剤が接合時の発熱により粘度低下が生じ、ダレにより生産性を低下させないことが求められます。
- ガスの発生
接合時の発熱により、有毒ガス、腐食性ガスを発生しないことが求められます。
[事例]
ウエルドボンド法は、自動車の車体部品のうち、剛性が必要な車体骨格などの接合に適用されています。

車体骨格
[まとめ]
ウエルドボンド法とは、被接合材の間に接着剤をはさんだ状態で、抵抗スポット溶接を行い、スポット溶接時の発熱によって接着剤を固化させて、接合する方法のことを言います。
抵抗スポット溶接、接着の各々の長所を引き出すことで、生産効率の向上、接合継手の機械特性の改善、部品剛性の向上、応力集中の回避を実現することができます。
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