接合工法の種類

接合工法 – 超音波接合 –

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超音波接合

[定義]

超音波接合とは、超音波による振動を被接合材に印加することで、被接合材表面の酸化皮膜を破壊、除去し、被接合材の生面を露出、密着させ、振動の際の発熱を利用して接合する方法です。

摩擦圧接、摩擦攪拌接合といった接合工法同様、被接合材を溶融させない固相接合に分類されます。

なお、超音波とは可聴周波数領域(20~20000Hz)を超えた、20kHZ以上の音波のことをいいます。超音波の発熱は摩擦熱に依存するため、振幅、加圧力が重要な接合因子となります。

超音波接合の接合プロセスは下記の通りです。

  1. ホーンと呼ばれる共振体を被接合材に押し付け、加振します。
  2. 振動にともない、被接合材表面の酸化被膜が破壊、除去され、新生面の露出、被接合材同士の直接接触が生じます。
  3. 加圧、振動によって、接合界面には摩擦力、および変形が生じ、その結果、発熱が生じます。
  4. 被接合材の原子間距離が十分に近接し、温度が被接合材間の原子の相互拡散に十分な状態まで上昇すると、固相状態で接合がなされます。

超音波接合は、接合面に対して平行、横方向に振動を付与する横振動タイプ垂直、縦方向に振動を付与する縦振動タイプがあります。

横振動タイプは、金属材料の接合に広く用いられます。

これは、金属材料を固相の状態で接合する場合、被接合材表面の酸化皮膜が除去、新生面の露出が重要となり、横振動により酸化被膜の破壊、除去、および新生面の露出が効率的に行えるためです。

また、薄物の樹脂の接合にも用いられます。

一方、縦振動タイプは、厚物の樹脂の接合に用いられます。

厚物の場合は横方向の振動では接合界面に十分な摩擦熱を発生させることができないことに起因します。

超音波接合 横振動

超音波接合(横振動)の接合プロセス図

超音波接合 縦振動

超音波接合(縦振動)の接合プロセス図

[特徴]

超音波接合の特徴は以下のとおりです。

  1. 固相での接合のため、接合界面に生じる温度は低く、接合界面の反応層の生成を制御できるため、異種材料同士の接合も可能です。また、熱影響を受ける領域が小さく、材質の劣化が少ないです。
  2. はんだなどの接合に比べて、被接合材の直接接合のため、電気抵抗の増大が生じません。そのため、電気部品の接合に向いています。
  3. 加圧、および超音波の印加の際に、表面の酸化皮膜を破壊しやすいアルミ箔や銅箔などの薄物の金属箔の接合に適しています。
  4. ホーン先端、接合面の重ね部を適正に設計することで面接合が得られ、点接合の場合に比べて高い継手強度を得ることができます。
  5. Pb含め副資材を必要としないため、環境に優しく、生産コスト(ランニングコスト)をおさえることが可能です。

[適用範囲、注意点]

超音波接合の注意点は以下のとおりです。

  1. 十分な振動を印加できないという点で、サイズの大きな構造体の接合は困難です。
  2. 三次元形状といった複雑な形状の構造体は振動を印加できないことから、その適用ができません。

また、超音波接合は振動を利用するため、部品の形状によっては共振が生じます。共振が生じると振幅、加圧が同条件であっても、加振による発熱が変化します。その結果、継手特性にバラツキが生じます。

また、場合によっては共振により、すでに接合された部位がはがれたりします。そのため、接合の際、部品の共振特性を把握しておくことが重要となります。

[事例]

自動車用途ではホイールカバー、カーペット、ハーネス、電気自動車用バッテリーなどの接合に用いられています。

また、省電力、安全、異物混入がないといった利点を有することから食品パック(卵パック、野菜ネットなど)、クリアファイル、カセットテープの本体などの樹脂部品の接合に広く適用されています。

[今後]

超音波接合とは、超音波による振動を利用して、被接合材表面の酸化皮膜を破壊、除去し、被接合材の新生面を露出、密着させ、振動の際の発熱を利用して接合する方法です。

振動付与の方向は接合面に対して平行な横振動タイプ垂直な縦振動タイプがあり、被接合材によって使い分けます。

また、振動を利用するため、部品形状によっては共振が生じるため、その特性を考慮して、接合位置、接合形状を検討する必要があります。

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