接合工法の種類

接合工法 –レーザ溶接–

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レーザ溶接

[定義]

レーザ溶接とは、接合したい被接合材の所望の位置にレーザ光を集光させ、局部的に入熱、溶融、凝固させ、接合する方法です。

レーザ光の指向性、および集光性の高さを利用することで、高いエネルギー密度を得ることができるのが特徴です。

局所的な入熱が可能となるため、熱影響部が小さく、熱によるひずみを抑えることができます。

レーザ溶接の接合プロセスは以下のとおりです。

  1. レーザ光を被接合材に照射すると、照射点にキーホール(キャビティ)と呼ばれる小さなくぼみが形成されます。
  2. キーホールの周囲で溶融が生じ、溶融した被接合材により溶融池と呼ばれる状態を形成します。
  3. レーザ光の移動に伴い、キーホールも移動し、溶融、凝固して接合がなされます。

レーザ溶接の接合プロセスはキーホールの形成も含め、電子ビームの接合プロセスとほぼ同様ですが、真空中で溶接される電子ビーム溶接と比較して、同一出力に対する溶け込み深さが浅くなります。

これは、レーザ溶接の場合、接合プロセス中に発生する金属蒸気やプラズマに多くのエネルギーが吸収されてしまうためです。

レーザ溶接

[特徴]

レーザ溶接には発振源の媒質、構造によって、CO2レーザYAGレーザ、およびファイバレーザディスクレーザと呼ばれる方法があります。

それらの特徴は以下に示すとおりです。

  • CO2レーザ気体である炭酸ガス(CO2)を媒質として、レーザ光を放出させる方法です。
  • YAGレーザ固体(Y:イットリウム、A:アルミニウム、G:ガーネット)を媒質として、レーザ光を放出させる方法です。金属ミラーにより、レーザビーム転送をするCO2レーザと異なり、光ファイバによるビーム転送が可能なため、三次元形状への対応が可能となります。
  • ファイバレーザ固体(Yb:イッテルビウム)を媒質として、レーザ光を放出させる方法です。細いファイバ内にレーザ光を閉じ込めているため、エネルギーの変換効率が高いのが特徴です。そのため、発振機が小型であり、レーザの出力が高いです。
  • ディスクレーザは、ファイバレーザ同様、固体(Yb:イッテルビウム)を媒質として、レーザ光を放出させる方法です。ディスクレーザは発振源が薄い板(円板)状となっており、結晶内の温度勾配を均一にすることが可能であることから、ロッド状のファイバレーザに比べ、熱レンズ効果(レンズの密度、屈折率が変化する現象)を抑え、安定したレーザ光を得ることができます。

レーザ溶接の特徴は以下のとおりです。

  1. エネルギー密度が高く、タクトタイムが短時間のため、熱影響部が小さく、溶接歪を抑えることができます。
  2. 抵抗スポット溶接、およびMIG溶接、TIG溶接といった接合方法が電極を用いるのに対し、レーザ溶接は電極不要のため、そのメンテが不要です。
  3. 接合時の、接合部近傍の雰囲気制御を行わなくても接合が可能です。もし、雰囲気制御を行えば接合部近傍の酸化を抑制できるので、継手品質を向上させることができます。
  4. ファイバレーザを用いれば、三次元形状の接合も可能です。
  5. リモートレーザを用いれば、焦点間距離を長くとることができ、複数箇所の同時接合が可能です。
  6. ファイバレーザ、リモートレーザをロボットと併用することでFA化が可能となります。

[適用範囲、注意点]

レーザ溶接の注意点は以下のとおりです。

  1. 被接合材表面の清浄度(防錆油、ほこりといったコンタミの残存)がよくないとブローホール(ポロシティ(空孔))が生じます。
  2. 部品の隙間ギャップが大きいと集光の状態が変化し、均一な接合継手を得ることができなくなります。
  3. レーザ光は身体(特に目)に影響を及ぼすため、厳重に安全性を管理する必要があります。接合装置を導入する際は、そのコストも考慮する必要があります。

[事例]

自動車用途では、シル、ピラーなど車体骨格部品の接合に広く用いられています。また、電気自動車用の電池の封止にも用いられています。

[まとめ]

レーザ溶接とは、接合したい被接合材の所望の位置にレーザ光を集光させ、局部的に入熱、溶融、凝固させ、接合する方法です。

レーザ光は高いエネルギー密度であるため、熱影響部が小さく、熱によるひずみを抑えることができます。

レーザ溶接には発振源の媒質、構造によって、CO2レーザYAGレーザおよびファイバレーザディスクレーザと呼ばれる方法があり、必要に応じて使い分けられています。

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