接合工法の種類

接合工法 – 摩擦圧接 –

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摩擦圧接

[定義]

摩擦圧接とは、被接合材の端面同士を突合せて、一方を固定、もう一方を回転させることで接触面に摩擦熱を発生させ、その熱により接合する方法のことを言います。固相状態での接合が可能であるため接合界面近傍の熱影響部が小さく、緻密な温度制御を要する銅とアルミニウム、アルミニウムとステンレスといった異種材料同士の接合にも用いられます。回転しながら接合面が接触するため、機械的に酸化皮膜が除去されることからフラックスなどの酸化皮膜除去工程を必要としません。アーク溶接、スポット溶接のようにスパッタ、チリなどが飛散しないため良好な作業環境を保つことができます。

摩擦圧接はブレーキ式フライホイール式に大別されます。

ブレーキ式の場合の接合プロセスは以下のとおりです。

固定された被接合材に、回転駆動する主軸に取り付けた被接合材を押し付けて、摩擦熱を生じさせます。加圧一定で押し付け、突合せ面近傍を接合に適した温度まで上昇させたら、クラッチを開放し、ブレーキを作動させて回転運動を停止させると同時に、アプセット加圧を加えて接合を完了します。

一方、フライホイール式の接合プロセスは以下のとおりです。

接合に要するエネルギーに応じて、予めフライホイールの枚数と初期回転数を決定します。フライホイールを持つ軸に回転エネルギーを与え、回転駆動する主軸に取り付けた被接合材に、固定側被接合材を押し付けます。加圧一定で押し付けると、摩擦部で回転エネルギーが摩擦熱に変換され、急速に回転速度が低下し、自然停止すると接合が完了しています。

ブレーキ式の場合は接合界面の状態に応じて、回転および停止を制御し、フライホイール式の場合は接合に必要なエネルギーを見積もり、そのエネルギーから運動エネルギーである回転数を決定するイメージです。

摩擦圧接_ブレーキ式

摩擦圧接(ブレーキ式)の接合プロセス図

摩擦圧接_フライホイール式

摩擦圧接(フライホイール式)の接合プロセス図

[特徴]

摩擦圧接の特徴は以下のとおりです。

  1. 管理すべき接合因子が簡素であり、装置の機構もシンプルです。
  2. 接合条件の尤度が広く、安定した品質の接合継手を得ることができます。
  3. 摩擦圧接は固相状態での接合であり、接合界面の温度が適正な状態に保たれます。そのため、継手特性が生成する反応層の状態に依存する異種材料同士の接合に適用が可能です。

その一方、

  1. 回転しながらの接合のため、被接合材の少なくとも一方は円形断面(もしくは正多角形などの概円形)に近いもの)である必要があります。
  2. 接合の際、軸方向に圧縮変形が生じるため、部品の相対位置の精度が求められるような接合には不向きです。
  3. 座屈が問題となるような長尺の部材、摩擦による運動エネルギーの慣性力の影響が大きくなり、その制御が困難な大質量の被接合材への適用には不向きです。

[適用範囲、注意点]

ブレーキ式は接合界面の温度状態に応じて、回転を制御する必要があるため、被接合材が大径の場合には大容量のブレーキが必要となります。

[事例]

管理すべき接合条件が簡素であり、熱影響部が小さな、良好な接合継手が得られることから、自動車、家電、土木建設、航空機といった様々な分野で実用化されています。具体的には、自動車用途ではプロペラシャフト、サスペンションのラジアスロッドの接合に、家電用途では印刷機、複合機用のローラー、土木建設用途では機械構造稼動部のボールジョイントドリルパイプなどに適用されています。

[まとめ]

摩擦圧接は接合した軸状の被接合材を回転させながら接触させ、その際に発生する摩擦熱を利用して接合する方法です。被接合材表面の酸化皮膜が機械的に除去されるため、その除去の必要がなく熱影響部が小さい良好な接合継手を得ることができます

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