接合工法の種類

接合工法 -クリンチング-

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[定義]

クリンチングとは、パンチとダイの間に挟んだ被接合材を局所的に変形させ、その変形を利用して機械的に締結する接合方法です。SPR(Self-Pierce Riveting)やFDS(Flow Drilling Screw)が副資材としてリベット、ネジを用いるのに対して、クリンチングは被接合材自体の塑性変形による締結を利用し、副資材を用いないことから、コスト面で優位性があります。

クリンチングは

  1. パンチ、ダイに相当する治具間への被接合材の配置
  2. パンチ、ダイによる被接合材への加圧
  3. パンチ、ダイの形状に応じた塑性変形、および機械的締結の発現

といったプロセスで接合がなされます。

クリンチングによる接合継手の強度は、接合語の側面部、および底面部の被接合材の板厚、接合部の直径に依存します。中でも、底面部の板厚は継手強度への影響が大きいため、適切な範囲にすべく管理する必要があります。

クリンチングの接合プロセス図[特徴]

クリンチングは以下のような特徴があります。

  • 低コスト

SPRやFDSに比べて、リベット、ネジといった副資材を用いないため、低コストです。

  • 非材質劣化、異種材料接合への展開性

他の機械的締結工法同様、溶融接合に比べて熱影響による材質劣化を考慮する必要がありません。また、冶金的な反応を伴わないため、異種材料の接合にも適用が可能です。

[注意点]

クリンチングを用いる際は以下の点に注意する必要があります。

  • 継手強度

副資材を用いるSPRやFDSといった機械的締結工法に比べて、その継手構造上、接合強度がやや劣ります。

  • 接合部間距離

接合部同士の距離を一定間隔以上にするように管理する必要があります。その理由としては、クリンチングは、パンチ、ダイにより被接合材を押し込み、周囲の材料を流動させながら、接合部を形成するため、近接位置の接合部が新たな接合部の形成に影響を及ぼすためです。

  • 被接合材の重ね方

板厚が異なる被接合材、強度が異なる被接合材を接合する際は、上側に薄板、低強度材料を配置します。その理由は、パンチで押す側である上側の被接合材の変形量を促進し、機械的な締結力を引き出すためです。

[事例]

自動車用途では、エンジンフード車体骨格部の接合などに適用されています。

 

[まとめ]

クリンチングとは、パンチとダイの間に挟んだ被接合材を局所的に変形させ、その変形を利用して機械的に締結する接合方法です。

副資材を用いるSPRやFDSに比べて、強度面ではやや劣るものの、コスト面で優位性があります。

継手強度は継手の構造に依存するため、側面部、底面部の板厚を管理する必要があります。

また、被接合材の変形状態が継手強度に影響を及ぼすため、板厚、および強度が異なる材料を接合する場合は、上側に薄板、低強度材料を配置することで変形を促進し、高強度な継手を得ることができます。

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